【ガイアの夜明け】イノベーションがもたらしたおいしいパン!
高島屋-パンのセレクトショップ
百貨店の高島屋は神奈川県内の30ブランドのパンを集荷して、高島屋で販売する取り組みを展開しているこの仕組みのプレイヤー毎のメリットは以下のとおりです。
町のパン屋:販売チャネルが増える、認知度向上
高島屋:集客力アップ(1日3,000人以上の来店)、他のフロアへの流入
お客様:町のパン屋それぞれのお店に行く手間が省ける
ポータルサイトのようなことを実店舗で応用した仕組みである。大きな店舗はこのような形で色々なお店の品物を買い集め、お客様に提供する。そのためトレンドをキャッチして、お客様に飽きさせないようにしていく必要がある。
これはパンだけでなく、全国各地のお菓子を取り揃えて提供する仕組みも伊勢丹や高島屋などでも実施している。当たり前の取り組みだが、今の時代パンが客寄せパンダの象徴のような存在になっている。
パンフォーユー「パンスク」
"地方のパンを都会の食卓に"というコンセプトのこの会社はパンスクというサービスを展開し、全国各地の地方のパン屋さんの商品を冷凍して、個人宅に届けるという仕組みを展開している。
ビジネスの仕組み
地方の選ばれたパン屋さんから契約しているお客様へ定期的にパンを宅配するサービス。
- どこのお店のパンが届くかはお楽しみ(お店の選択はできない)
- いつでも解約できる
- 送料込みで1回3,990円
- パンスク登録者は約6,000人
運営者側が色んなパンの詰合せをして発送するのではなく、1回につき提携店1店舗のパンのみを発送する仕組みになっており、お店に発送も任せるられるため、運営者側のコストがかからない。結果として安価にパンを提供できている。このサービスのメリットは以下のとおり。
パン屋:安定収入が得られる全国のお客様に届けられる
利用者:パン屋に行く必要がない、時間がない人に宅配サービスは便利
このサービスを実現させたイノベーション
イノベーションの秘密はパンを入れるビニール袋。
糊化量や水分量が常温保存するより冷凍保存する方が質的に上回ることを実現させたビニール袋で、これにより冷凍保存で全国各地に宅配することができるという。また、どこのパン屋さんで冷凍してもおいしいし、業務用の冷凍庫はどこのお店にもあるので設備投資なしで始められるというメリットもある。
無責任に提案したいこと 「総選挙」の巻
どこのお店がおいしかったか投票して、お客様に点数をつけてもらって、お店の番付表を作ってみてほしい。パン屋さんの品質向上のモチベーションにつなげる仕組みになると思うし、お客様もきっと喜んでくれるし、「パンスク」ブランドの価値向上にもつながるハズ!
お店もずっと安泰ではなく、お客様からの評価によって提携店の入れ替わりの可能性がある仕組みがあってもいいと思う。JリーグのようにJ1(パンスク)からJ2へ脱落の可能性があることで競争力を生み出し、より良いパンのプラットフォームができるかも。
冷凍パンを実店舗でも販売
大阪メトロの地下街や渋谷のau STYLEという携帯ショップで冷凍パンの販売をしている様子が番組で放送されていた。冷凍のパンを扱っているため、キッチン機能は不要で冷凍庫と電子レンジがあればおそらく問題なさそうな点がいいと思う。
無責任に提案したいこと 「コラボ」の巻
au STYLEという携帯ショップでのパン販売の様子が映されていたが、お客さんは携帯ショップでパンだけを頬張ることになり、なんだか味気ない印象だった。飲み物も欲しいだろうに、コーヒーを販売している様子はなかった。だからコーヒー屋さんと提携してコーヒーを提供すればいいのにと思う。もっと欲を言えば、コーヒー屋さんと本屋さんとコラボレーションして、冷凍パン屋さんを一緒にやれば流行ると思う。
小麦の奴隷
北海道にあるパン屋さんで、特徴的なルックスのカレーパンが評判のお店です。表面にはクルトンがくっついていて、ザックザクの食感を体験できるようです。
このお店はパンのおいしさもさることながら、イノベーションによってパン業界の課題である長時間労働を減少させ、日本のパン屋さんの持続可能性を高める仕組みを生み出しています。
長時間労働
パン屋さんは実は長時間労働のブラック職種と言えるかもしれない。
03:00 起床
04:00 仕込み・パンを焼く
08:00 開店・追加でパンを焼く・惣菜パンを作る
20:00 閉店・道具の片付け・翌日の仕込み
21:00 帰宅・晩御飯
22:00 就寝
このようにワンオペに近いお店の人は5時間睡眠で休みなく営業しなければならない程、パン屋さんは長時間労働を強いられている。これではパン屋さんを生業にして生計を立てようとする人や従業員として働いていこうという人が減ってもおかしくはない。そうするとパン屋さんを続けていく人が減って、日本でパン屋さんが減少していくリスクがある。
長時間労働から解放するイノベーション
長時間労働を強いる大きな課題は2つある。
- 粉から一次発酵させて、生地玉を作る工程の難しさ
- 粉から一次発酵させて、生地玉を作る工程の時間の長さ
1の工程の難しさゆえ、できる人が少なく1人に負担が集中しやすい。2の時間の長さは労働時間の長さに直結している。これを解決したのが冷凍技術の進化だ。冷凍技術の進化によって生地玉を冷凍保存しておき、誰でも簡単に、なおかつ短時間でパンが作れるようになるという。
生地玉を作る作業は大変で難しいのだが、冷凍のパン生地を使うことで誰でも簡単に、短時間に重要工程をクリアすることができる。しかも冷凍技術の進化によって味が落ちないことによってフランチャイズ化を可能にした。研修期間2週間でパン屋さんができるという。今までのように長年の下働きが当たり前の時代ではなくならせたのは、冷凍技術の進化と人の知恵。冷凍技術の進化というイノベーションがパン屋さんの働き方を変革したわかりやすい事例だと思う。
フランチャイズ化と訪問販売
誰でも簡単にパンを作れるようになることで、フランチャイズ化ができるようになり現在4店舗を展開している。
さらにこのお店の経営者は北海道の各地に出かけて行って、近隣23市町村を日替わりで訪問販売している。どこのお店に行くかは事前にSNSで通知しているから、お客さんもそれに合わせて買いに行くことができる。今までであればお店でパンを焼いていなければならなかったが、出張販売ができるようになることで売上も増加している。いずれ無人自動車が走るようになった時には、もっと広い範囲にパンを届けることができ、更なる飛躍を遂げそうである。
イノベーションによって、難しい工程を簡単かつ短時間でできるようにすることで労働者を長時間労働から解放し、フランチャイズ化することで、この仕組みを作った人は寝ててもお金が入ってくる。これは凄いシステムだと思う。