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【カンブリア宮殿】アサヒビール 塩澤賢一社長

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テレビ東京 カンブリア宮殿

アサヒスーパードライ生ジョッキ缶で話題のアサヒビールを取り上げたカンブリア宮殿の内容をお伝えしていきます。

アサヒビールのヒストリー

昭和時代:万年業界3位で、斜陽という意味から夕日ビールと呼ばれる時代があった。

1987年   :スーパードライ発売。それまでのトレンドだった苦味から離れ、辛口を売りにしたところ大ヒット!

1998年   :キリンを抜き、ビール業界1位

2009年   :キリンに再び首位の座を明け渡すも、翌年すぐに首位に返り咲く

2020年   :11年ぶりにキリンに首位の再び座を譲る

2000年代に入ると、ビール類の売り上げは右肩下がりを続け、どのビールメーカーも苦戦を強いられているが、アサヒビールスーパードライが消費者に飽きられ、これまでのスーパードライ依存度が鮮明になった格好だ。

生ジョッキ缶

発売日に販売延期を決定するほど、供給が追い付かなくなったスーパードライ生ジョッキ缶。缶ビールなのに居酒屋で飲む生ビールの味を味わうことができることで話題となっている。これまでビールの新商品と言えば、製法の変更・ホップの量の変更・アルコール度数の変更などビールの味に関わるところが中心だったように思うが、生ジョッキ缶は中身の工夫ではなく、缶を変えるという外身の工夫で新商品を展開したことになる。従来のスーパードライとの違いは以下のとおり。

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缶のふたを開けたとき泡が出てくる仕組みはこうだ。缶の内側に凹凸のついた塗料を焼き付け、缶のふたを開けたときに炭酸の泡が缶の内側に触れることで泡が出てくるようにした。通常、缶ビールは泡が出てこないことが品質的に良好なのだが、逆転の発想で泡が出てくる工夫をした。ビールはそのままに、缶だけを変更すること居酒屋の生ビール味を再現したという、まさに発想の勝利だと言えそうだ。

女子ビール部が手掛けるビアドロップス

果実を凍らせた「アイスの実」のような見た目の玉をビールに落とし、ビールの中で溶けてフルーティさを味わえ、アイスが解けて果肉も味わえるという若い人に受けそうな商品を開発した女子ビール部。

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テレビ東京 カンブリア宮殿

自然発生的に生まれた女子ビール部だが、社内での風当たりは少なからずあるという。「ビールに混ぜ物をして飲むなんて邪道、ビールはそのまま飲むべきだ」という批判も受けているという。こんなことをいう人はどこの世界にもいるし、勝手に言ってろと思う。しかし社長の塩澤氏も一定の理解を示しながら、テレビを通して「私もビールはそのまま飲むべきだと思う」発言をしていた。この様子を見て、アサヒビールが首位に返り咲くのは遠いかもしれないと感じた。自らのあり方について社長が先頭を切って社員のマインドを変える動きをしないといけないし、改革の陣頭指揮をとっていかないと会社は変わらず、消費者にも飽きられてしまう。それなのにテレビでビールはそのまま飲むべきだなどと発言しちゃう正直な人だと、世間はアサヒビールにあまり期待しなくなるから、嘘でもいいから「女子ビール部の活躍に期待していて、全力で応援していく」などと言えば、アサヒビールの評価も随分変わっていたと思う。

経営者が先頭に立って改革を推進していくような経営者がいるのが首位に返り咲いたキリンで、これがアサヒビールとの違いだと思えなくもない。実際、ビールのシェアが6割を占めるアサヒビールはビール以外の飲み物に舵を切るのは容易ではないし、簡単に他のものに目を向けるよりはビールの価値を探求して、お客様に提供できるものは何かを考えて、アクションしていくことこそとても本質的な活動だと思う。そういう活動をしているのが女子ビール部だと思う。自分たちの足元にダイヤモンドが転がっていないかよく探して、できることは他にもないか考えていくことで新たな価値を発見できるのだと思う。そういう活動は応援したいし、それでダメならほかのことをすればいいと思う。

まとめ

生ジョッキ缶はの大ヒットはおそらく一時的なものでしかないと思う。この商品によって首位のキリンを抜くほどのインパクトがあるかと言われれば、そうでもないと思う。ただし、アサヒビールは何かワクワクするようなことをやってくれるぞ!と消費者の頭の中にはインプットされたと思う。これこそがアサヒビールの狙いなのではないか。今回のヒットに依存せず、消費者をワクワクさせる取り組みに期待したい。